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「釣り業界という大海原でめざす理想郷」
「遊び心を忘れない。
釣りを通じて
人を笑顔にしたい」
水谷 明良 /(株)BOZLES
社長である叔父の一言で飛び込んだ、
ものづくりの世界
元々は飲食チェーンのフランチャイズとして、店舗を複数経営していました。しかし「新しい仕事をはじめたい」と、和田製作所の社長である叔父に伝えると「じゃあ、明日からここで働け」と言われてしまって。小さい頃から尊敬する叔父の一言に、覚悟を決めましたね。和田製作所は航空機産業のものづくり企業として、“治具”と呼ばれる産業部品を製造する老舗メーカー。当時サービス業一筋だった私はまったくの門外漢です。コミュニケーション力を生かし、さまざまな部署や現場を通してモノづくりのイロハを学びました。
転機となったのは、社長直属の秘書のような役割を任されたこと。同業他社との研究会の運営や、資料作成などを通して、航空機産業についてより客観的な視点から学ぶことができました。気付いたのは何より、景気による山谷の激しさ。業界ならではの事情に加えて、「メーカーになりたい」という強い想いが、新たに「開発部」を興すことへとつながりました。イチからマーケティングを学び、アイデアを練り上げる日々のはじまりです。
自分の「楽しい」をとことん突き詰めた、
メタルジグ開発
“空の治具(じぐ)から海のジグへ”。自分もどっぷり船釣りにハマっていたことや、なにより社長から「新規事業は自分が楽しいものをやれ」という話もあったことから、並々ならぬ思いでルアー事業への挑戦を決意。魚が一匹も釣れない“ボウズ”が “レス”になるジグを。そんな想いを込めて、屋号は「BOZLES(ボーズレス)」としました。製品のいちばんの特徴は「タングステン」と呼ばれるレアメタルを使用していること。主戦場となる伊勢湾の潮流に対応するためには、小さくて重いこの素材しかないと考えました。
営業活動もBOZLESらしく進めています。だって、釣りはひとつの「エンターテインメント」だと思うから。釣り用具の展示会では、エンターテインメントの本場ラスベガスのカジノ風ショーブースを設置。配布するカタログは札束をモチーフに、せっかく手に取ってもらえるなら読み物としても面白いものにこだわりました。製品だけじゃなくて、ビジネスの広げ方も、他のメーカーさんが絶対にやらないことを突き詰めたいんです。「これ、おもしろい!」なんて思ってくれたら最高じゃないですか。
作るだけでは終わらない、
「ライフスタイル」を届けたい
「信長」「秀吉」「藤吉郎」など、ジグのネーミングには戦国武将の名前をつけました。清須の企業ですし、ターゲットとなる40-50代の男性は、なんたって武将が好きですから。パッと聞いた時に広がる壮大な世界観を、製品からも感じてもらいたいんです。でも、私たちが商品を扱うジギングというジャンルなら、たとえば女性でも、軽い竿で、エサをさわらなくても大物や、高級魚などを狙えるんです。もっと気軽に魚が釣れる、そんなジギングの魅力を広めていきたいと思っています。
今は「釣り」が新規事業の中心にありますが、この先提案していきたいのは自然を楽しむ「ライフスタイル」。現在は自然豊かな沖縄の西表島で、足漕ぎカヤックを使った新しい釣りのスタイルやアウトドアの楽しみ方を提案しています。昔から人を楽しませたり、喜ばせるのが大好き。世の中を変えていくなら、そんな「誰もやったことがないことをやる」ベンチャースピリットを大切にしたいと思っています。自分から清須を変えていくくらいの気概で、遊び心を大切にしながら、これからも事業を広げていきたいですね。
商品紹介
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TG NOBUNAGA
「コウナゴ」をモデルに、航空宇宙機器設計でも使われるソフトで設計したメタルジグ。
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TG HIDEYOSHI
「TG NOBUNAGA」と同様に設計。伊勢湾の魚のエサとなる「カタクチイワシ」がモデル。
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TG TOKICHIRO
ユーザーの要望を受け「TG HIDEYOSHI」をダウンサイジングしたメタルジグ。
会社紹介
航空機の部品と加工や組み立てに使用する治具(じぐ)を製造する創業70年の老舗メーカー、和田製作所の新規事業からスタート。近年は沖縄・西表島などで自然を活かしたアクティビティにも携わるなど、「清洲超え」に止まらない事業を展開している。
BOZLES(ボーズレス)