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「全国の祭りを染める染物屋の白書」
「天気ひとつで発色が変わる。
今日の具合を観るのが
腕のみせどころ」
冨田友一 /(有)紺松
この道50年の4代目が支える、
130年の歴史ある染物屋
私は創業130年ほどになる染物屋の4代目です。全国のお祭りの法被などを手がけていて、この道50年になります。元々清須には青物市場で栄えた美濃街道があったため、商店が扱う前掛けや暖簾(のれん)、法被(はっぴ)などの販売がメインでした。しかし、3代目である父の代からその需要もだんだん減っていき、今の売上の半分を占めるお祭りの法被をつくりはじめました。その頃は日本の景気が上がってきた時代だったので、お祭りの需要が増えていきました。お祭りのピークは主に夏祭りと秋祭りで、全国的には秋祭りの方が多いため9月頃が一番忙しくなります。
法被といえば日本の伝統的なものづくりのイメージがありますが、昔のやり方ではなかなか今の需要に応えられないため、時代のニーズに合わせて変化し続けています。手作業で染める同業者の方が多い中、うちでは30〜40年前から機械を取り入れてつくっています。最近は複雑な柄の注文も多いためインクジェットで染めることもあります。同業者と比べると大量生産や、機械でしかできないような細かい柄が出せるのが強みです。手染めに比べると納期的にもお客様の要望に応えることができるようになりました。
色にこだわり、
お客様の思いを実現させる
お客様のイメージ通りにできるか、思いをいかに実現できるかをいちばん大切にしています。特にこだわりがあり、難しいのが色です。作業の工程で“色合わせ”というものがあり、実際に染める前に小さな布に出して確認をするのですが、この色合わせでいい色だと思っても大判で出すと薄いなんてことも。色にこだわるお客様ですと、紺色でも「この紺色じゃだめだ」と言われてしまうこともあります。なので、色に関することは繊細に管理をして、注意深くやるようにしています。
また、染めの工程は生地のさらし具合によっても変わってきます。生地はノリをつけた糸で織っているので、染める前にさらし工場でノリを落として白くするんです。そのさらし加減で染料の吸水度合いが変わってくるので、前に仕入れた生地と全く同じであっても、染めると発色が違うということもあります。機械で染めるにしても天気に左右されることが多く、特に色は湿気に影響されるので、今日の具合を観て色を濃くしたりやわらかくしたりするのが職人の腕のみせどころです。50年やっていますが、染物はつくづく難しいと日々感じます。
日本文化を象徴する法被で、
日本を、清須を盛り上げる
ありがたいことに国内だけに止まらず、シドニーやハワイなど世界中から発注をいただいていました。日本企業が海外で鏡開きをする際に使用する法被の注文や、アメリカで回転寿司屋さんを営んでいる夫婦が直接来てくださり、法被を100枚ほど注文してくださったこともありました。インターネットのおかげです。海外の方にとって法被は和の象徴で、和文化の一部みたいなものだと思います。コロナ禍が落ち着いて海外からの注文も戻ってくればいいなと思いますし、最近では全国のお祭りが再開されつつあるので、これからも日本そして清須の企業として、日本の文化で清須の街を盛り上げていきたいです。
商品紹介
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法被
全国数々のお祭りで使用される法被・のぼり・手ぬぐいなどを製造販売
会社紹介
お祭りの法被などを手がける、創業およそ130年の染物屋。日本国内にとどまらず、世界中から発注を受けることも。日本の伝統を守りながら時代のニーズに合わせて様々な取り組みをしている。
有限会社紺松
愛知県清須市西枇杷島町小野田45-1
TEL:052-501-4588
FAX:052-502-5656
MAIL:konmatu@fork.ocn.ne.jp